ごあいさつ

会長 西尾 和人
近畿大学医学部ゲノム生物学講座 教授


第23回日本がん分子標的治療学会学術集会は、2019年6月12(水)〜14日(金)の3日間、大阪国際交流センター(大阪市)にて開催を予定しております。本学会への皆さまからのご協力とご支援をどうぞよろしくお願い致します。

本学会は、がん分子標的治療によるがんの治癒を目指し、国内外において分子標的に関する基礎研究を推進し、その臨床応用を諮ることを目的に活動しています。産官学が有機的に密に協同し、わが国初のがんの創薬を進めていく土壌を培ってきた歴史を持っています。

昨今の分子標的治療薬、免疫療法等の新規がん治療薬の進歩は目覚ましく、加えて、コンパニオン診断薬など、バイオマーカーに係る研究とも密接に連携する必要が生じました。新たな創薬や標的をわが国から発信し続けるために、本学会および学術集会の役割が益々重要となっています。第23回学術集会は、新理事長中村祐輔先生のもと、「わが国発の創薬」の推進を図る学術集会といたします。

第23回学術集会においても、第22回までの歴代会長のコンセプトを引き継ぎ、特にメディシナルケミスト、ケミカルバイオロジストとの連携を密に臨床の場まで創薬研究を繋ぐ議論の場とすることを目標に鋭意準備を進めております。本学術集会では、新学術領域研究「化学コミュニケーションのフロンティア」(代表 掛谷秀昭先生, 京大院薬)との合同シンポジウムを開催し、化学コミュニケーションの解明と制御を主眼とした「分子社会学」という新しい学問領域の確立とその臨床へのトランスレーションとしての創薬を議論したいと考えています。また、臨床研究法が施行され、第22回学術集会 畠清彦会長が基本講座として試みられた、治験やその教育に係る方々を対象としたセミナーを引き継ぎ、「一からわかるがん臨床研究支援人材養成セミナー(仮題)」を実施する予定です。

今回の学術集会ではメインテーマを「Right on Target」と定め、日本発の創薬に挑む科学者の議論の場となることを期待します。皆様には本学会に参加されたことのない若い研究者や共同研究をされている方々もお誘い頂き、幅広い活発なディスカッションをお願い申し上げます。

久方ぶりの大阪での開催となりますが、サイエンスと共に大阪の食文化のディープな部分も堪能いただけば幸いです。